はじめに
当法人自立へのかけ橋(旧ふたばふらっとホーム)は、児童養護施設二葉学園の出身者を中心に児童養護施設職員、元職員、ボランティアの方々が中心となって平成22年度に発足しました。
その活動としては、社会的養護施設出身者の自立支援を目的として、平成23年度に実施した「社会的養護施設等および里親出身者実態調査概要報告」及び平成25年度・26年年度に実施した社会的養護施設出身者がパネラーになってのシンポジュウムを開催してきました。
そうした活動の中で、社会的養護施設出身者(以下当事者という)が「社会に出て困った事」としてあげているのは
- いきなりひとりになりさびしかった
- 自分の気持ちを話せる人がいない
- 職場の人間関係がうまく行かない
- 相談相手がいない
- 施設・里親出身者といえない
- 施設の生活では、ス-パーに買い物へ行くことなどの一般常識が身につかないので自立した時に戸惑った。
- 施設では、お小遣いとして少額での金銭のやり取りなので、十数万円の給与に伴う家賃・光熱費などの計画的な支出が出来なかった。
- 施設をでたら自立しなければいけないという意識が強く、社会に出て、困ったとき、誰かに頼るっていう感覚はなく、とりあえずは自分の力で頑張るしかないと思った
- たとえ、大学や専門学校に進学したとしても、奨学金とアルバイトで生活費と学費を出さなければならず大変なので進学をあきらめざるを得なかった
- 転職するときや引っ越しする時の保証人を探すのが大変であった
- 社会生活を送っていると、失敗できないという思いは頭から離れなかった
このように、多くの当事者の方々が18才で社会へ自立していくと「いきなりひとりになってさびしかった」の言葉でわかるように、自分をさらけ出して人との関係を築く事が難しいと感じてしまいます。
又、多くの当事者が高校卒業・高校中退・中学卒業の学歴しかないので学歴にコンプレックスを抱いています。しかも社会生活で失敗した時に、多くの当事者は身近に頼れる人がいないのが現状です。
したがって、当事者の方々は、孤立感・孤独感をひしひしと感じながら、自立したのだから自分1人で何とかしなければならないと必死に生きているのが実情だと思います。
これからの社会は、貧富の差がますます大きくなると言われています。このような社会では、施設出身者のように多くのハンデを背負っている社会的に立場の弱い人々が、ますます苦しめられていきます。
したがって、我々は、今までの活動で当事者の方々が語った切実な思いを真摯に受け止めて、当事者の方々の実情を広く社会に知ってもらうとともに、社会的養護の関係者の多く皆様が当事者の方々と一緒になって、行政を動かし、少しでも当事者の方々が自立していく不安を解消し、孤立化することを食い止めることだと強く思っています。そのためには、当事者自身によるグループが中心となって真に自立支援に必要な政策を提言することが最も大切なことだと思っています。
当法人としては、当事者の方々をはじめとして多くの皆様と連携及び連携して、微力ながら当事者の方々の自立支援に力を尽くしていきたいと思っています。